日本に2.3棟しかないものを建築中

僕の子どもの頃の夢は警察官でした。

 

これは人相が悪いので即却下です。

 

その次はプロ野球選手です。

 

これも県工野球部に入り、化け物たちを見て無理だなときづきました。

 

レギュラー9人中7人が遠投100m投げてましたからね。ちなみにカープのテストの合格ラインが95mだったはず。

 

4年間のサラリーマン生活を経て大工の見習いを始めたわけですが見習い当時の給料は月に10万円。25日計算でいくと1日4000円。

 

日曜日出ようが、残業しようが月10万円。

 

おせっかいな先輩が僕の時給を勝手に計算して「お前、時給263円しかないで!やめてマックで働いた方がいいんじゃないか!?」って言われたのを覚えとる(笑)

 

263円も鮮明に覚えとる。

 

車のローンやガソリン代、年金、税金、保険も10万円のうちから自分で払わんといけんけど当然足りん。道具を買うなんて全くできんかった。

 

だから夜バイトしてた。1枚2円のビラを4000枚くらい夜な夜な配ってた。

 

22時に家に帰って、そこからご飯食べて風呂入って23時くらいから朝の5時くらいまでビラ配ってた。30分寝て仕事行く感じだったな。毎日ではないけど週3日ほど。

 

今思えばよくやったなと。体力的には人生で一番しんどかった時期だと思う。

 

それでもやめてマックのバイトをせんかったのは、自分の家を自分で建てる!という目標と、何歳になってもええ、いつか茶室を建ててみたい!という夢があったからかな。

 

いや、まぁマックの選択肢は元々なかったけども…

 

 

その茶室をですね…

 

 

ついにですね…

 

 

10月31日にですね…

 

 

棟上げしたんですよー!!!

 

なんと2階建ての茶室です!!

 

僕自身、2階建ての茶室というのは見たことも聞いたこともないのですが、聞くところによると日本に2つか3つほどあるそうです。ただ、検索して出てくる2階建ての茶室はこの建物だけ↓

京都の東本願寺の敷地内?かな?

 

39歳にして、いや40歳にして、いややっぱり39歳にして(どっちだっつー)こんなに早くこのようなチャンスを頂けるとは…

 

実はね、10月31日は僕の40歳の誕生日だったんです。契約をしていただいたのは39歳の時だったので…

 

母、えつこが命懸けで生み落としてくれて40年目の節目がこんなに素晴らしい1日になるなんて。

 

忘れられない1日になりました。

 

40歳にして初めて「産んでくれてありがとう」って伝えました。ずっと思ってはいましたが照れ臭いじゃないですか(笑)

 

僕の夢は悦子と敏典抜きじゃなし得なかったので。

 

今回お話しを頂いてまずやったことはお茶を習いに行くこと。

 

表千家の作法を教えて頂いて、裏千家のお茶会にも行かせて頂きました。

まずはここからだなと思ったので。

 

まだお茶の世界の事は全然わからないけど思ったのは深い。美しいです。

 

姿勢だとかちょっとした動きだとか。

 

ちょっとハマりそうです。

 

 

 

ちなみに数寄屋建築(茶室)の大工さんの日当は7万円ほどだそうです。

 

数寄屋建築はそれくらい専門性が高くて難しいってことです。

 

今回の建物もですね、屋根を作るだけで1ヵ月以上かかりました。

 

最近の住宅は、大工さんの工期が30日~40日くらいなので、そのくらいの間ずっと屋根を作っていたということです。

 

途中経過ではありますが見てください。まずは大屋根(上の屋根)です。

そしてこの茶室のシンボルになるであろう路盤というものがこのてっぺんのもの↓

僕はこの路盤が座るのをずっと楽しみにしてた。当然自分の現場で使うのは初めてじゃし、今後自分の現場で見ることはないかもしれん。それだけ貴重なものです。

 

何せお寺でしか見たことないですから。先週行った島根の清水寺↓

京都の下鴨でバス降りたら偶然あったお寺↓

こんなところでしか見ない。

 

焼くのに1ヵ月かかって、これ1つでユニットバスを買うくらいの金額がします。

 

つづいて下屋根。下屋根はこの茶室の大工工事では1番の腕の見せ所。3週間ちょっとかかって作ってますけど、正直ほぼ毎日夢に出てきました。

 

柱も丸太、梁も丸太、垂木も丸太で難しいことこの上ない作りであそこどうしよう。ここはどうしよう。って考えながら寝るもんですから…

これは玄関の屋根↓

これは6m×6mの屋根。この屋根が一番難しかった。

全体像はこんな感じ↓

自分でいうのもなんですがめちゃくちゃ美しい屋根が出来ていると思います。

 

まぁあれです。無事に屋根が終わってほっとしました。ずっと気を張っていたのでね。

 

次回はこの茶室がどんな材料で出来ているのか書いてみます。

 

 

おしまい♪